book review

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フェイスブック 不屈の未来戦略 (T's BUSINESS DESIGN)

フェイスブック 不屈の未来戦略 (T's BUSINESS DESIGN)

フェイスブック 不屈の未来戦略 (T's BUSINESS DESIGN)

☆☆☆

  • なぜ読んだのか
     本の評価を見て最近のfacebookの動向に興味を持ったから.

  • 何を学んだか
     日本でのLINEの強さ.facebookgoogle, apple との差.
    人々が表明した興味関心を最大の資産として所有している google の強さと,OS を持っている強さ.
    facebookgoogleを超えるにはまだ遠く及ばない.
    産業革命,情報革命のテクノロジーが当時,難解だったように,今後より抽象度,複雑度が上がり,理解が難しくなるだろう.
    次元を自由に上げ下げして思考出来る必要がありそうだ.

  • どう活かすか
    ビジョンと信念を明確に持つ.
    googleの考える未来を注視する.
    日本での広告の購入プロセスを独占する電通facebook, LINEはどう戦うのか.

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に

14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に

14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に

☆☆☆

  • なぜ読んだのか
     著者と社会学に興味を持ち読了

  • 何が書いてあったか

「4時間勉強したら,あとは本を読むか,音楽をきくか,街に出て映画や演劇を見るか,あるいは友だちの家で徹夜でおしゃべりした.(中略)残りの時間は「将来の自分が,ちゃんと人を愛し,ちゃんと人から愛されるために必要なこと」「将来の自分が,ちゃんと社会を大切にし,ちゃんと社会から大切にされるために必要なこと」を身につけるのに使おう.幸せになるには,ムダなことに時間を使っていられない.」(p.76)

なるほど.毎日4時間ほどに受験勉強を抑えることは大事だ.それ以上に時間が必要なら,著者のように予備校に進むのも悪くないのだろう.「14歳」には具体的にためになる箇所だろう.

  • 何を学んだか

人が幸せに生きるためには「尊厳[自分は他者に受け入れられる存在だと思えること]」が必要 (cf.p.18)

「尊厳」は「承認」によって獲得する (cf.p.24)
"インスタ映え"などで「承認」を求める人達が「尊厳」が無く,自分に「価値がある」と思えないとしたら,生きることが困難な状態なのかもしれない. そして,彼らの閉じた世界で間違った価値観が承認されているならば危険だ.

社会が複雑になり共通前提が消え共通感覚[ホンネの共有]が崩れている (cf.p.39)
発行された2008年から9年経ち,より強く感じている.

社会学主意主義の立場であり,意思を出発点にする (cf.p.56)

願望水準[自分が心の奥底で何を望んでいる水準]は下げない (cf.p.79)

自分流にこだわることだけ考える (cf.p.112)

経験する「試行錯誤」だけが役立つ (cf.p.104)

ダメなやつとの関係は切ればいい (cf.p.143)

  • どう活かすか

社会ではなく世界の中に生きて死ぬこと (cf.p.160)を考えているので「承認」は気にならないのだが,だとしても,一人寂しく死ぬことはいけないのか (cf.p.78)

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

「どうせ無理」と思っている君へ 本当の自信の増やしかた

「どうせ無理」と思っている君へ 本当の自信の増やしかた

「どうせ無理」と思っている君へ 本当の自信の増やしかた

☆☆☆☆

  • なぜ読んだのか
     某氏が読んでいて気になり読了.
    大人にも当然効くが,中学生くらいまでの必読書だと思う.正しいと思うが故に,学生には批判的に読み,考えてみてほしい.

  • 何を学んだか
     赤ちゃんが,しゃべる,歩く,食べる,という様々な初めてのことに挑戦し,失敗し,それでも成功するまで挑戦するように,挑戦し続ける (cf.p.26)
     「自由」という語は福沢諭吉が「freedom」を「自らを由とする」,つまり「自らを理由にして行動すること」と解釈し作られた. (cf.p.88)

  • どう活かすか
     子供の時の様に,好奇心を持つ事を考えていたが,これから赤ちゃんの様に好奇心を持つ事を意識する.
     害になる相手[人の心を潰す人、人の夢を壊す人,人の自信をズタボロにする人 (cf.p.39)]から積極的に距離を置く.
     植松は,本当の自信はやさしさであり,その理由は,すべてはやさしさから始まるから(cf.p.175) と締める.論証は理解不能だが,やさしい人間に本当の自信があることはわかる気もする.能動的に話を聞き,やさしい人間を目指せば自ずと本当の自信が付きそうだ.

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

プラトンとの哲学――対話篇をよむ (岩波新書)

☆☆☆

  • なぜ読んだのか
     対話について書かれた文章で著者を知り、改めてプラトンの対話篇に強く惹かれたため。

  • 何が書いてあったか

 正しくない理想を掲げると社会や個人は不幸を被る。正しい理想を描くためにはそれらを言葉で厳しく吟味する必要がある。(cf.p.168)

 だから僕は哲学に関心がある。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

夕凪の街 桜の国

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

☆☆☆☆

『夕凪の街』の舞台は,昭和30年(1955年)の広島市
『桜の国(一)』の舞台は,昭和62年(1987年)の東京都中野区
『桜の国(二)』の舞台は,平成16年(2004年)の東京都西東京市,中野区,広島市

『夕凪の街』

 原爆投下から10年,被爆者の皆実がわかっているのは『死ねばいい』と誰かに思われたこと,しかし生き延びていることであり, 自分が『死ねばいい』と思われても仕方のない人間になったと気づくことが怖いと言う.(p.16)
10年前の8月を内省する皆実の,この世にいてもいいのかという問いに,打越は,生きていてくれてありがとうと答え,皆実の生は肯定される.(p.28)
自らを死なずにすんだ人と認識していた皆実だったが,死を悟り,自分の死を喜んでくれている人がいるか問う.(p.33)
打越氏から生を肯定された皆実には,死を喜んでくれる人がいなければ,死ぬ事はとても辛いのだ.

『桜の国』

 旭は姉の皆実の五十回忌を期に,昔話を聞きに広島に行く.
会っている人々は,『夕凪の街』で皆実のお見舞いに来てくれた人,ワンピースを一緒に作った古田,打越だろう.
旭と打越が食べているものは,皆実が打越に同じ場所でご馳走した特産の珍しい野菜の料理なのだろう.

 凪生は赤ん坊の時の被害にあった被爆者の母,京香の影響からか,以前患っていた喘息を理由に,東子との交際を東子の両親から禁止される.
凪生は東子に,二人とも,お互いの家族から大切にされて生きてきたのだから,東子の両親を裏切ったり,悲しませる権利があるとは思えないと,伝えた事を七海は知る.
自らも被爆者で,夫と3人の娘を原爆の被害で失ったフジミも,東子の両親と同じく,息子の旭に,被爆者の京香と結婚する気か?と問い,もう知った人が原爆で死ぬのは見たくない,と言う.
旭と結婚した京香はフジミより早く亡くなっている.
 七海は,凪生も自分もいつ原爆のせいで死んでもおかしくない人間とか決めつけられたりしているのか,と問う.

  • 何を学んだか
     原爆投下から60年[2004年発行]経ても被爆者への差別がいまだに根強く残っている.

  • どう活かすか
     2017年の今でも,被爆者,被爆二世への差別はあるだろう.2011年の3.11以降は東北への差別もある.風化すれば,差別は無くなるかもしれない.しかし,人類が同じ過ちを繰り返さないためにも『忘れてしまえばすんでしまう事』(p.26)ではなく,語り継ぎ,乗り越えることは義務ではないだろうか.この話を終わらせるために,まだこの話を終わらせてはならないと考える.

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

☆☆☆

  • 何を学んだか
     売られて遊郭に居るのだろうリンさんは,誰でも何かが足ら無いぐらいでこの世界に居場所はそうそう無くならない,と言う.(cf.p.41)この言葉に勇気付けられる現代人も多いだろう.
    帰宅後に勉強している周作さんの姿も印象に残った.(cf.p.124)
    当時は夫が入るお風呂の湯を妻が温めていたようだ.今では考えられない光景ではないか.
    周作さんのお父さんが,空襲からすずさんと晴美さんを守る姿に家長としての強さと家族愛を感じた.今の中年のおじさんたちは家族を守れるだろうか?

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

☆☆☆

  • なぜ読んだのか
     映画を気に入り,原作はより詳細が描かれているとA君から聞いていたので読了. 

  • 何を学んだか
     子供の御使いや,結婚の仕方等今の日本との違いも感じる. しかし,当時からまだ1世紀も経っておらず,人間の本質は変わらない部分も多々在るように思う.
     皆,精神年齢が高いように見えるが,そんな精神年齢の高い,すずさんと同年代の方たちもたくさんの方がご存命だ.彼らには,戦後生まれの日本人はどう見えるのだろうか?
     90年代後半「21世紀は戦争が無い世紀」と言われていて子供ながらに凄い!!と思っていた.今は,人生の中でもっとも戦争を恐れている.

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス