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予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版


☆☆☆☆☆

不合理な行動の規則性を理解し、予想する事が大事だ.

人は持てば持つほどいっそう欲しくなる。唯一の解決策は、相対性の連鎖を断つことだ。
所有意識から逃れるには、あえて自分と目的の品物のあいだにある程度の距離を置いて、できるだけ自分が非所有者であるかのように考える。
値段の変化に対してわたしたちが示す感応度は、真の選好や需要の度合いの反映などではなく、過去に支払った金額の記憶と、過去の決断との一貫性を維持したいという願望によるところが大きいのかもしれない。
社会規範と市場規範を混同してはいけない
あなたが企業なら、社会規範と市場規範のふた股はかけられないと肝に命じることだ。あいまいな好感度で選ばれる会社にするためにお金を無駄にしないほうがよい。顧客に提案する企業の価値はシンプルにして、自分たちが何を提供し、見返りに何を期待しているのかをはっきり打ちだすことだ。どんな社会規範も社会的な期待も提示しないのだから、それを逸脱することもありえない。しょせん、これはビジネスだと割りきるべきだ。
週7日24時間という労働時間では、社会規範がおおいに役立つ。社会規範によって、従業員は熱心で勤勉になり、順応力も意識も高まる傾向がある。雇い主に対する従業員の忠誠心が薄れていることが多い市場では、社会規範は従業員に忠誠心を抱かせ、やる気を起こさせる効果的な方法のひとつだ。 会社生活で利用されない、社会的な報酬や名声による奨励で行動を強く動機づける。
企業は、従業員に対するときも顧客に対するときと同じくらい、相手が態度で示す長期的な献身を把握しなければならない。社会的交流においては、何かまずいことが起きても、相手方がそばにいて、自分を守り助けてくれると人人は信じている。
アレキサンダー・ポープはかつて、"何も期待しない者は幸いである。けっして失望することがない"と書いた。個人的には、ポープのアドバイスは先入観のない人生を生きる最良の方法に思える。否定的な予測の影響をなくすのに大いに役立つのもたしかだ。だが、肯定的な予測は、ものごとをもっと楽しませてくれるし、まわりの世界の印象をよくしてくれる。何も期待しないことの害は、それ以上何も得られずに終わってしまうかもしれないということだ。
人はときとして、他人になんらかの印象を与えるために、消費行動から得られる快楽を犠牲にする。つまり、とくに独自性への要求が強い人たちは、評判という効用を得るために、個人の効用を犠牲にすることがある。