book review

what you see is all there is

ことばと思考 (岩波新書)

ことばと思考 (岩波新書)

ことばと思考 (岩波新書)

☆☆☆☆

  • なぜ読んだのか
     ことばと思考の関係に興味があり読了

  • 何を学んだか

 言語は,世界に対する見方(知覚の仕方)を変えたり,記憶を歪めたり,判断や意思決定に影響する.
 言語が思考を決定するか否か,異なる言語の話者が異なる思考をしているか,については二者択一的な答えをすることは不可能.
 object という語にぴったり相当することばは日本語に存在せず、「モノ」や「物体」では、object にとって最も大事な,モノの可算性がぼやけてしまう

日本人 アメリカ人
object objectではない
object objectではない
モノではない object
動物 モノではない object

(cf.p.39)

名詞を分類する文法は大きく3つに大別できる 地理的に近接している地域で同じ分け方をするわけではない
英語のような可算性,数えられるか数えられないかもう基準にして分類する 四大陸,パプアニューギニアなど世界中に散在 性や動物性,形による分類は選択しなかった
性で分類 ヨーロッパ大陸インド・ヨーロッパ語族の言語(イタリア語,ドイツ語)に限らず, アフリカ,パプアニューギニア南アメリカ大陸の言語 可算性と性の両方を選択
助数詞で分類 東アジア(日本語,中国語,韓国語),アメリカ大陸の先住民族の言語の多く,アフリカの多くの言語 動物性,機能性,形などを基準に分類する方法を選択し,可算性や性による分類は選択しなかった

(cf.pp.121-122)

  • どう活かすか
     最も適切なことばを選択し,使っていく.外国語だけでなく母語も学び続ける必要がある.

 子どもの知性の発達の中で,何かを一つ一つ覚え,規則性を抽出し、その規則性を使って学習を加速させ,知識を深めていことがよく見られるようだ.(cf.p.178) 学習する際は,規則性を抽出することに注力しようと思う.

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス