不合理だからすべてがうまくいく
- 作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/11/25
- メディア: ペーパーバック
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☆☆☆☆
第1章のまとめ
- ふつう報酬が高くなるほど成績も上がるように思うが、高すぎる報酬は、逆効果になることがある。とくに単純な課題よりも、認知スキルが要求される課題の場合に、この傾向が強い。
- 金銭的報酬だけでなく、社会的報酬(人に認められる)などについても同じ。
- ここいちばんの正念場で、モチベーション過剰が裏目に出て、力を発揮できないという、人間の不合理性を考慮して、最高の成績を生み出す工夫をしよう。
第2章のまとめ
- 仕事に意味があるかないかで(どんなささやかな意味でも)、モチベーションに大きなちがいが生じる。
- 仕事へのやる気を奪うのは驚くほど簡単だ。しかし、逆に、仕事へ意味を与えることで、モチベーションを高める機会があるともいえる。
第3章のまとめ
- 労力をかけて何かをこしらえると、その作品に愛着を感じ、過大評価するようになる(イケア効果)。
- イケア効果は、組み立て家具やケーキミックスでつくったケーキのような「セミホームメード」にも生じる。
- ただし作品を最後まで完成させないと、イケア効果は満喫できない。
- カスタマイゼーションの手間と、お手軽さとのバランスをうまく図れば、顧客が大きな価値を見いだす製品が生み出せる。
- プロジェクトに時間や労力をかけることで、モチベーションを高めることも可能だ。
第4章のまとめ
- 自分で生み出したアイデアには愛着を感じ、高く評価してしまう(自前主義バイアス)。
- 自前主義バイアスは、自分で考えたという思いこみでも生じる。
- 愛着が過ぎると、他人の優れたアイデアを排除してしまうおそれがある。
- 自前主義バイアスを利用して、目の前の課題に打ちこめるよう、工夫できる。
第5章のまとめ
- 復讐は人間の奥深い本能だ。
- この本能は不合理だが、社会の信頼関係を保つ働きがある。
- 顧客による報復は、企業に大きなダメージを与えることがある。顧客をなだめるメリットは大きい。
- 復讐心をバネに成功する人も多い。
第6章のまとめ
- 人生を変えるほどの大きなできごとにも、いつか順応する。
- よいことが起きても思ったほど幸せにはならないし、悪いことが起きてもそれほど不幸にはならない。
- 順応するプロセスを中断すると、順応が遅くなる。これを利用して、厄介なことは一気に片付け、楽しいことは休み休みやれば、満足度が大いに高まる。
第7章のまとめ
- 容姿に恵まれた人同士、恵まれない人同士で付き合うことが多い。
- 容姿に恵まれない人は、外見以外の魅力を重視することで、現実に順応する。
第8章のまとめ
- 人間の不合理な性質を考慮に入れない、商品やサービス、市場は必ず失敗する。
- 現代のゆゆしい市場の失敗の一つが、恋愛・婚活市場だ。オンラインデート・サイトの問題点は、人を検索可能な商品のように扱うことにある。
- 人間にできること、できないことに合った構造をもたせれば、もっと役に立つ市場に変えられる。
第9章のまとめ
- 人はおおぜいの苦しみより、一人の苦しみの方に心を動かされるようにできている。(顔のある犠牲者効果)
- 心理的に近い存在、鮮明なできごと、自分の行動が大きなちがいを生むという確信が、感情のスイッチを入れ、人助けの行動を促す。
- 合理的思考は感情移入を阻害する。
- ただし感情に動かされた行動が、適切とは限らない。
第10章のまとめ
- 感情はすぐ消えるが、いっときの感情にまかせた決定が、長い間にわたって行動を左右することがある。
- まったく無関係な感情でさえ、決定に影響をおよぼす
- 強い感情にとらわれているときは、決定を下さないのが賢明だ。
人間の進化は、技術の発達にはとうてい追いつけない。かつては役に立った本能や能力が、いまではわたしたちま足を引っ張ることも多い。いまや、わたしたちの生命に重大で深刻な影響がおよびかねない。
大切なのは、自分のいちばんよい面を引き出し、悪い面が出ないよう心がけることだ。
いま下す決定は、いま起きていいることだけに影響を与えるのではない。将来下すであろう、たくさんの似たような決定にも、影響をおよぼし続けるかもしれないのだ。