ファスト&スロー (下): あなたの意思はどのように決まるか?
ファスト&スロー (下): あなたの意思はどのように決まるか?
- 作者: ダニエル・カーネマン,友野典男(解説),村井章子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 単行本
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発明家は、性格特性の評価で楽観的傾向が強い人々の間に多く見うけられる。その証拠に、個人の発明は見返りが小さく、「未公開会社やハイリスク債権のリターンを下回る」とされている。もっと一般的に言えば、個人事業主はさほど儲からない。同じスキルや資格を持っている場合、そのスキルを売り込んで雇ってもらうほうが、平均的に高い報酬が得られる。これらのデータから、楽観主義は広くはびこっており、根強く、しかも高くつくと言ってよい。
とはいえ起業家の楽観的なリスクテークが、資本主義経済を活性化させていることは間違いない。
たとえリスクをとる人の大半が最後は破綻するにしても。
楽観主義を抑える方法(死亡前死因分析)
決定に立ち至ったとき、決定をよく知っている人たちに集まってもらう。そして、「いまが1年後だと想像して下さい。私たちは、さきほど決めた計画を実行しました。すると、大失敗に終わりました。どんなふうに失敗したのかまとめて下さい。」と頼む。
神経経済学の分野では、AがBに不公平なふるまいをしたとき、Aへの報復に参加した「利他的な報復」では、脳の中の快楽に関わる部位が活性化する。
宝くじは、可能性効果の端的な例。チャンスがどれほど小さかろうと気にならない。人々は単に当たる確率ではなく、心楽しく夢を見る権利を買うのである。