book review

what you see is all there is

〈子ども〉のための哲学 (講談社現代新書)

☆☆☆☆

  • なぜ読んだのか
    著者の問い「なぜぼくは存在するのか」が,私の問い「(脱人格的自己意識の)〈私〉は,何のために,思考しているのか」を考える上での参考になるかと思ったので.

  • 何が書いてあったか

    「純粋に哲学的な態度は・・・単に利己的なだけなのだ」(p.112)

自分の問いの探求に他者を付き合わせている罪悪感を感じていたので,気持ちが少し楽になった.

「たいていの親は利己的な、たいして愛情深くない!親」(p.155)

きっとそうだろう.

私は 子どもに対して 利己的でなく,愛情深い親になりたいが,子どもがいない今,利己的な私は「利己的な、たいして愛情深くない!親」になりそうだ.
もしも私が愛情深い親になれた場合は,子供という他者の存在によって変化させられたことに嫌悪感を感じるだろう.
その嫌悪感は,他者が存在しなければ利己的なひとのままだったはずなのに,他者の存在によって 自分が 自ら 変化してしまったからだ.

私は,子どもがいない時から愛情深いひとでなければ,子どもに対して愛情深い親として接する場合に子どもに嘘をついている様で,申し訳なく思ってしまうだろう.
だから,私が愛情深い親になれる可能性があったとしても,利己的な私は,親になるべきではないと考えている.

実在論は,他者に対する深い侮辱 につながっているのかもしれない p.185

私は日本語の枠の中で考えていることを強く感じた.

  • どう活かすか

自分の問いを自信を持って探求する.

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