book review

what you see is all there is

人類の未来―AI、経済、民主主義 (NHK出版新書 513)

☆☆☆

  • なぜ読んだのか
     訳者の本が好きなので読了.

  • 発見

レイ・カーツワイル

「これからは、資源が余る時代に移行していく。(中略)余剰の時代」(p.110)

「ディープ・ニューラル・ネットワークなどは、人間の脳の働き方とは少し違う」(p.115)

AI には2つの学派がある (p.123)

シンボル派 ニューラルネット
全てを論理的に分析するやり方 コネクショニスト
マービン・ミンスキー ローゼンブラット

「何十億,何百億という巨大な情報の山を,100層のニューラルネットに流し込んで、求めている1本の針を探し出すことができる」(pp.124-125)

我々の生涯に最も影響があるのは、文化やテクノロジーの進化 (p.126)

マーティン・ウルフ

金融部門はリスクを追うことが仕事になっている.
本質的に不確定な将来について決断をすることが金融の仕事 (p.172)

経済学は物理学の正反対の位置にいる.経済学は基本的に,歴史にわずかな論理を加味したもの (p.210)

平衡を得るために理性と感情の均衡を保つ (p.221)

グローバリゼーションとEUの考察が,初めて知ることばかりで楽しめ,右翼政党の台頭の理由も理解した.

マーティン・ウルフの推薦図書

西洋哲学史 1―古代より現代に至る政治的・社会的諸条件との関連における哲学史 (1)

文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

ローマ帝国衰亡史〈5〉第31‐38章―アッティラと西ローマ帝国滅亡 (ちくま学芸文庫)

フリーマン・ダイソン

経済モデルは実際の経済にはまったく無力.現在の経済を理解するうえでは役立つが,予測には無力. 部分を研究するには役立つが全体を把握するには大きな問題がある.(cf.pp.266-267)


  • どう活かすか
      既にレイ・カーツワイルの言う余剰の時代ではないだろうか. 生産物,時間,人的リソース,能力が余っている.余剰を上手く利用すればいい.
    現代は忙しさを理由に,ファクトチェックをせず,権威を信じやすい危険な時代だ.
    情報で混乱しないよう,整理が重要だろう.
    未来に対する決断はやはり,極力括弧に入れたい.

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