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確率的発想法~数学を日常に活かす

確率的発想法~数学を日常に活かす

確率的発想法~数学を日常に活かす

☆☆☆☆

不確実性を表現したいときの,あらゆる可能性 例えば,明日の天気を問題にするなら Ω={晴れ,曇り,雨,雪} これを「標本空間」という

Ωを構成する要素,晴れ,曇り,雨,雪を「ステイト」という

ステイトの起こりやすさの「程度」に「比」を割り当てて表現する L(Ω)=4:3:2:1 これを「オッズ」という

このような,標本空間ΩにオッズL(Ω)を組み合わせたものを 「不確実性モデル」と呼ぶ
これで,不確実性が定式化された

いくつかのステイトを集めたもの 例 A={雨,雪} を「イベント」(事象)という

不確実性の出所を大きく2つに分類すると、「未来の時間」と「知識の不足」

「知識の不足」による不確実性モデルの「情報によって変化する確率」という特性,は徹底的に削除すべき

フィッシャーの考え方の背後にある思想「現実における出来事は、最も起きやすい出来事であると考えるのが妥当」という「最尤思想」

ベイズ推定の2つの利点

  1. 多数回の試行のあとで行ったベイズ推定は正確に真実を見つけ出す.多数回試行するならフィッシャー流と変わりない結論を下せる.

2.「逐次合理性」という性質.繰り返してベイズ推定を行う場合、いちいち今までの情報をすべて洗い直して計算するのではなく、最新の情報だけでアップデートすれば結果的に同じ数値を導ける.

第3章 リスクの商い

ノイマン&モルゲンシュテルンの期待効用基準

ゲームの理論と経済行動〈1〉 (ちくま学芸文庫)

ゲームの理論と経済行動〈1〉 (ちくま学芸文庫)

彼らは,人々の経済行動を規定する,不確実性下の意思決定をどう記述するかを提案.それが「期待効用基準」.その目的のために,選好理論という経済学独自の方法論を援用.「選考理論」は,人は「内面的な好みの上位にしたがって物を買う」という考え方によって消費行動を定式化する方法.

それは,「適切な関数が個人個人の内面に存在していて,その関数の数値が1番大きくなるような消費配分を選ぶ」というもの.このような関数を「効用関数」という.

期待効用理論は人間の内面に存在する利益に対する感受性を関数として導入することによって、期待値では説明できない経済行動を記述することに成功した.

期待値基準は数学的な見地から,そう行動したほうがいいといった規範的な意味合い.期待効用基準は記述的な意味合い.期待値基準は、大数の法則を基盤とする頻度主義(客観確率)に立脚する方ですが,期待効用基準のほうは,人間の内面や心情や信念などを基盤とするベイズ主義(主観確率)に立脚する考え方だ.

市場社会は、おのおのが「さほど必要のない所持品を、必要度の高い品物と交換する」ということ営まれる.

第4章環境のリスクと生命の期待値

世の中で行われる確率情報の伝達や交換では、その基盤が巧妙にすり替わっている場合があり、ここに錯覚や詐術が存在しないかを慎重に見極めることが大切.

第8章経験から学び、経験に騙される

自分の命題が経験を説明できなくなっていれば公理系を修正せざるを得ない.自分の固有の癖や思い込みから脱出するには「攪乱」の要素が必要なのだ.