book review

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ポリアモリー 複数の愛を生きる (平凡社新書)

この記事は,本のAdvent Calendar 2016 の4日目です.

www.adventar.org

4日現在,ゼンゼン埋まっていないので興味関心がある方はご参加下さい.


ポリアモリー 複数の愛を生きる (平凡社新書)

ポリアモリー 複数の愛を生きる (平凡社新書)

☆☆☆☆

「『パートナーになること』と『所有すること』は異なると考える.さらには、パートナーを所有しようとする行為には、互いの成長を邪魔する危険があるという」(p.39)

他者の変化を愛せない結婚ならば,
互いの成長を阻害しあうので,
個人も成長が義務づけられる資本主義社会で結婚の維持は難しい

「社会規範や婚姻制度を漫然と受け入れるのではなく」(p.31)

「[モノガミー(一夫一婦制度)のときは]ちょっと戦っている感じもあった.今は恋人であり、同じプロジェクトをすすめている仲間って感じもする」(p.131)

仲間という人間関係は憧れる.
モノガミーの子育ては,パートナーと仲間になるためではとさえ思える.

「人類学における感情研究は、感情は普遍的ではなく社会の構築物であることを明らかにしてきた」(p.139)

「モノガミー社会では,パートナーを独占することができ,結婚はその権利を確実なものにする,と考えられている.(中略)[過剰な束縛を]「愛」だと信じて疑わない」(p.153)

結婚によって他者を独占できると考える人は多くいるが,そもそも他者を独占することは不可能だ.束縛を「愛」だと信じている人も多くいるように思う.
そういう愛は虐待やストーカー行為に繋がるのかもしれない

「モノガミー社会では,結婚すると友人と会う機会が減るなど,友人との関わり方が変化することがある.」(p.204)

この理由は,「相手の所有物」(p.223)として束縛されているからかもしれない.
友人と会う機会が減ることで,「互いの成長」(p.39) の阻害に繋がる.

「ポリアモリスト曰く、誰かがあなたの家族を演じているのは、あなたという『家族』がかけがえのない存在だからに他ならない」(p.212)

家族は,かけがえのない存在なのだろうか?
直感的にはそう思うが,もう少し考える必要がある.

「血縁や法的な絆はなくても強い絆のある『ファミリー』をつくることができる」(p.214)

同意する.僕もそのような「ファミリー」と生きたい.

「1人の人と関係を継続するモノガミーこそ大変な挑戦だ」(p.217)

同意するが,この本について話した際に「1人との関係が難しいのに複数人との関係なんて難しすぎる」という声を聞いて,そう考えるのかと驚いた.

「〈一対一〉の交際をしていたときは,どこか相手の所有物みたいに扱われる面がありました.」(p.223)

「[過剰な束縛を]「愛」だと信じて疑わない」(p.153) パートナーだと,所有物みたいに扱われるのかもしれない.

「最大の関心は,(中略)誰をどのように愛するか,ということ」(p.227)

様々な愛の形を知ることが必要だろう.

結婚についてだけでなく,人生について異なる世代から学ぶべき
広義のポリアモリーは,多くの人に受け入れられるのではないだろうか?
よりよく生きることを真摯に考えずに他者と共生することは難しい.
様々な愛の形を知ることが必要だろう.


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