人類の未来―AI、経済、民主主義 (NHK出版新書 513)
人類の未来―AI、経済、民主主義 (NHK出版新書 513)
- 作者: ノーム・チョムスキー,レイ・カーツワイル,マーティン・ウルフ,ビャルケ・インゲルス,フリーマン・ダイソン,吉成真由美
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2017/04/11
- メディア: 新書
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☆☆☆
なぜ読んだのか
訳者の本が好きなので読了.発見
「これからは、資源が余る時代に移行していく。(中略)余剰の時代」(p.110)
「ディープ・ニューラル・ネットワークなどは、人間の脳の働き方とは少し違う」(p.115)
AI には2つの学派がある (p.123)
シンボル派 | ニューラルネット派 |
---|---|
全てを論理的に分析するやり方 | コネクショニスト |
マービン・ミンスキー | ローゼンブラット |
「何十億,何百億という巨大な情報の山を,100層のニューラルネットに流し込んで、求めている1本の針を探し出すことができる」(pp.124-125)
我々の生涯に最も影響があるのは、文化やテクノロジーの進化 (p.126)
マーティン・ウルフ
金融部門はリスクを追うことが仕事になっている.
本質的に不確定な将来について決断をすることが金融の仕事 (p.172)
経済学は物理学の正反対の位置にいる.経済学は基本的に,歴史にわずかな論理を加味したもの (p.210)
平衡を得るために理性と感情の均衡を保つ (p.221)
グローバリゼーションとEUの考察が,初めて知ることばかりで楽しめ,右翼政党の台頭の理由も理解した.
マーティン・ウルフの推薦図書
西洋哲学史 1―古代より現代に至る政治的・社会的諸条件との関連における哲学史 (1)
文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)
ローマ帝国衰亡史〈5〉第31‐38章―アッティラと西ローマ帝国滅亡 (ちくま学芸文庫)
経済モデルは実際の経済にはまったく無力.現在の経済を理解するうえでは役立つが,予測には無力. 部分を研究するには役立つが全体を把握するには大きな問題がある.(cf.pp.266-267)
- どう活かすか
既にレイ・カーツワイルの言う余剰の時代ではないだろうか. 生産物,時間,人的リソース,能力が余っている.余剰を上手く利用すればいい.
現代は忙しさを理由に,ファクトチェックをせず,権威を信じやすい危険な時代だ.
情報で混乱しないよう,整理が重要だろう.
未来に対する決断はやはり,極力括弧に入れたい.
この世界の片隅に 下
- 作者: こうの史代
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2009/04/28
- メディア: コミック
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☆☆☆☆
- 何が書いてあったか
晴美は,生きている人の心の中で生き続けるのだろう.周作のお母さんは,孫の晴美の死を詰ることなく,義理の娘であるすずを労わる.(p.42)
すずは,家が焼けて欲しいと願うが,周作からの「この家を守りきれるかの」という言葉を思い出し,焼夷弾を消化する.(p.48)
生きていてくれて良かった(cf.p.55)とは,あなたが死ぬのは私は嫌だ,ということなのか? ここで,後にすずが思う,どこがどう良かったか判らない,という問いを感じた.そして「鬼いちゃんが死んで良かったと思ってしまっている」(p.62)すずの気持ちも解る.歪んでいるのかもしれないけど,人間は歪んでいる存在だとも思う.
能動的に生きる径子は受動的に見えるすずの人生がつまらないだろうと思っていた.だから,イヤになったらいつでも往け(広島に帰れ)ばいいと思っていた.(cf.p.75) ここに愛を感じる.そして,経子の「自分で決め」は,すずに何を考えさせたか?
玉音放送で当時は「神」の天皇の声をほとんどの国民は初めて聞いた.「神」が「まるで人間の声」で日本語をしゃべるのは驚きだったろう.それに比べ,今の天皇は一気に身近な存在になったのだな.(p.92)
台風=神風 だったのか(p.104)
原爆投下から4ヶ月経っても,広島では人を探していたのだな.顔は,自分が探している人に見えてしまう.(p.129) 311の福島もそうだったのかもしれない.
リンも最終回の子も孤児だ.苦労した孤児は多かっただろう.人が人を育てるのは難しい.(p.141)
消費社会の神話と構造 普及版
- 作者: ジャンボードリヤール,Jean Baudrillard,今村仁司,塚原史
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 1995/02
- メディア: 単行本
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☆☆☆
なぜ読んだのか
勉強会のために読了.何が書いてあったか
相手が居たら面白いかな,居たほうがいいかな,と交際相手や婚約相手を"欲す"るのは,人間を暇を潰すために消費するモノとして扱っているということだ.
しかし,現代の日本ではこのような人がほとんどだと思う.ルシクラージュ(recyclage)と疲労の現象もよく見られる.どう活かすか
疲労していないことが武器になる (cf.p.279)
フェイスブック 不屈の未来戦略 (T's BUSINESS DESIGN)
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- 作者: マイク・ホフリンガー
- 出版社/メーカー: TAC出版
- 発売日: 2017/07/14
- メディア: Kindle版
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☆☆☆
なぜ読んだのか
本の評価を見て最近のfacebookの動向に興味を持ったから.何を学んだか
日本でのLINEの強さ.facebookとgoogle, apple との差.
人々が表明した興味関心を最大の資産として所有している google の強さと,OS を持っている強さ.
facebookがgoogleを超えるにはまだ遠く及ばない.
産業革命,情報革命のテクノロジーが当時,難解だったように,今後より抽象度,複雑度が上がり,理解が難しくなるだろう.
次元を自由に上げ下げして思考出来る必要がありそうだ.どう活かすか
ビジョンと信念を明確に持つ.
googleの考える未来を注視する.
日本での広告の購入プロセスを独占する電通とfacebook, LINEはどう戦うのか.
14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に
- 作者: 宮台真司
- 出版社/メーカー: 世界文化社
- 発売日: 2008/11/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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☆☆☆
なぜ読んだのか
著者と社会学に興味を持ち読了何が書いてあったか
「4時間勉強したら,あとは本を読むか,音楽をきくか,街に出て映画や演劇を見るか,あるいは友だちの家で徹夜でおしゃべりした.(中略)残りの時間は「将来の自分が,ちゃんと人を愛し,ちゃんと人から愛されるために必要なこと」「将来の自分が,ちゃんと社会を大切にし,ちゃんと社会から大切にされるために必要なこと」を身につけるのに使おう.幸せになるには,ムダなことに時間を使っていられない.」(p.76)
なるほど.毎日4時間ほどに受験勉強を抑えることは大事だ.それ以上に時間が必要なら,著者のように予備校に進むのも悪くないのだろう.「14歳」には具体的にためになる箇所だろう.
- 何を学んだか
人が幸せに生きるためには「尊厳[自分は他者に受け入れられる存在だと思えること]」が必要 (cf.p.18)
「尊厳」は「承認」によって獲得する (cf.p.24)
"インスタ映え"などで「承認」を求める人達が「尊厳」が無く,自分に「価値がある」と思えないとしたら,生きることが困難な状態なのかもしれない.
そして,彼らの閉じた世界で間違った価値観が承認されているならば危険だ.
社会が複雑になり共通前提が消え共通感覚[ホンネの共有]が崩れている (cf.p.39)
発行された2008年から9年経ち,より強く感じている.
社会学は主意主義の立場であり,意思を出発点にする (cf.p.56)
願望水準[自分が心の奥底で何を望んでいる水準]は下げない (cf.p.79)
自分流にこだわることだけ考える (cf.p.112)
経験する「試行錯誤」だけが役立つ (cf.p.104)
ダメなやつとの関係は切ればいい (cf.p.143)
- どう活かすか
社会ではなく世界の中に生きて死ぬこと (cf.p.160)を考えているので「承認」は気にならないのだが,だとしても,一人寂しく死ぬことはいけないのか (cf.p.78)
「どうせ無理」と思っている君へ 本当の自信の増やしかた
- 作者: 植松努
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2017/03/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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なぜ読んだのか
某氏が読んでいて気になり読了.
大人にも当然効くが,中学生くらいまでの必読書だと思う.正しいと思うが故に,学生には批判的に読み,考えてみてほしい.何を学んだか
赤ちゃんが,しゃべる,歩く,食べる,という様々な初めてのことに挑戦し,失敗し,それでも成功するまで挑戦するように,挑戦し続ける (cf.p.26)
「自由」という語は福沢諭吉が「freedom」を「自らを由とする」,つまり「自らを理由にして行動すること」と解釈し作られた. (cf.p.88)どう活かすか
子供の時の様に,好奇心を持つ事を考えていたが,これから赤ちゃんの様に好奇心を持つ事を意識する.
害になる相手[人の心を潰す人、人の夢を壊す人,人の自信をズタボロにする人 (cf.p.39)]から積極的に距離を置く.
植松は,本当の自信はやさしさであり,その理由は,すべてはやさしさから始まるから(cf.p.175) と締める.論証は理解不能だが,やさしい人間に本当の自信があることはわかる気もする.能動的に話を聞き,やさしい人間を目指せば自ずと本当の自信が付きそうだ.
プラトンとの哲学――対話篇をよむ (岩波新書)
- 作者: 納富信留
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/07/23
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なぜ読んだのか
対話について書かれた文章で著者を知り、改めてプラトンの対話篇に強く惹かれたため。何が書いてあったか
正しくない理想を掲げると社会や個人は不幸を被る。正しい理想を描くためにはそれらを言葉で厳しく吟味する必要がある。(cf.p.168)
だから僕は哲学に関心がある。